「商品の良さ」だけじゃ売れない時代に読むべき1冊
常識を10°ズラすだけで、売れるアイデアは生まれる
——『道ばたの石ころ どうやってうるか?』(野呂エイシロウ)感想
商品を売るって、どういうことだろう?
そう改めて考えるきっかけをくれたのが、野呂エイシロウさんの著書『道ばたの石ころ どうやってうるか?』です。
本書の中で何度も繰り返されるのは、「視点を変える」ことの大切さ。
自分の会社⇒お客様 ではなく、お客様⇒自分の会社 という逆向きの発想。
これだけでも、大きなヒントになります。
スティーブ・ジョブズも「視点を変える」ことの達人だったといいます。
たしかに、「商品の良さ」をいくら一生懸命アピールしても、売れないことはあります。
それは、「売る側の都合」だけで世界を見ているからかもしれません。
また、こんなフレーズも印象に残りました。
「最高の一案は、山ほどつまらない案の中に、ひっそり埋もれている」
つまり、“的外れ”なアイデアも、“あり得ない”発想も、すべては「宝探し」の途中にあるということ。
「脳は怠け者だから、常識に寄りかかろうとする」という指摘もドキッとします。
私たちは、気づかないうちに“思い込み”で思考停止していることが多いのです。
他にも、「情報にケチになれ」という言葉も心に残りました。
これはお金の話ではなく、「時間」と「情報の質」への投資の話。
ただ闇雲にインプットするのではなく、“自分にとって本当に面白い・使える情報か”を見極めようということです。
たとえば、最近は新聞を読む人が減っていますが、年収1000万円以上の92%は新聞を読んでいるというデータが紹介されていて、ハッとしました。
「売る」ためのヒントは、意外と日常のスーパーのチラシや、何気ないニュース記事の中に転がっているのかもしれません。
著者は、「わざと間違える」ことも視点をずらす技法として紹介しています。
また、まったく違うジャンルや他人の考え方を“まねる”ことも、有効なアプローチとのこと。
形ではなく、考え方をまねるというのがポイントです。
最後に紹介されていたのが、「とりあえずやってみる」「ダメならすぐやめる」という軽快な思考のすすめ。
これもまた、思考停止を打ち破る小さな一歩だと思います。
✅まとめ:自分の“視点癖”を疑ってみる
本書を読んで強く思ったのは、自分の中の「常識」が意外と厄介な敵になるということです。
思考停止に陥らないためには、あえて視点をズラす、外す、まねる、遊ぶ、そして捨てる。
こうした「ずらし」の習慣を、これから日々の中で試してみたいと思います。
何かがうまくいかないと感じたとき、ほんの10°だけ視点を変える。
それだけで、まったく違う景色が見えてくるかもしれません。

