「もつれた自分」をほどく旅 ー 量子の世界から学んだこと
『人生がパパッと変わる「量子もつれ」のほどき方』(Shaliko著)を読んで、またひとつ、見えない世界への理解が深まった気がします。
量子もつれや波動、フォトン、波動関数…。
正直、これまでも何冊か似たテーマの本を読んできたけれど、「わかったようで、わからない」。
物質が点であり波であり紐である、というたとえに毎回少し戸惑う。でも、その複雑怪奇さこそが量子の世界なのだと、今回ようやく腑に落ちたような気がしました。
目に見えない“つながり”の正体
特に印象に残ったのが、「量子もつれ」の状態を、人間関係にたとえている部分です。
たとえ物理的に離れていても、深く結びついたもの同士は互いに影響し合う。まるで、大切な人のことをふと思い出した瞬間に連絡が来る、そんな不思議なつながり。
人の体も微弱な電気を帯びていて、それがフォトン(光子)として発しているといいます。つまり、人と接するとき、そこには目に見えない量子的な“波”が交差していて、その相性によって「なんとなく合う」「居心地が悪い」と感じるのかもしれません。
「仮の自分」をほどいていく
本書を読んで思い出したのが、自分の中にある「仮設定の自分」の存在です。
子どものころから「みんなと同じが正しい」と教えられ、それに合わせてふるまってきた結果、知らず知らずのうちに“本当の自分”はどこか奥にしまわれていった。そんな人、多いのではないでしょうか。
それが長く続くと、自分の考えを持つことすら億劫になって、思考が止まってしまう。
でも、量子の世界のように、私たちも常にゆらぎながら存在している。だからこそ、「今の自分」も書き換えていいし、波動を変えていいんです。
“空”のこころで軽くなる
筆者は、「もつれをほどく方法」として、“幸せを感じること”や、“空(くう)=こだわらない心”の大切さを語っています。
この“空”という言葉、仏教でもよく出てきますよね。区別や執着を手放して、ただあるがままに今を味わうこと。
科学と宗教、哲学は、実は同じことを違う言葉で語っているのかもしれません。
私たちはフラクタル構造のように、宇宙と同じパターンで成り立っているなら、自分の波動を整えれば、外の世界にもそれが響く。
未来は「今」の延長にある。だからこそ、今日をどんな波で生きるかが、すべてなんだと感じました。
最後に──
難しいことでも、知ろうとすれば教えてくれる時代に生きていることに、ふと感動します。
「量子もつれ」をほどく旅は、見えないものを信じることから始まるのかもしれません。
自分に優しい波動を選びながら、軽やかに生きていきたい──そう思えた一冊でした。

