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自分の中の“眠っていた誰か”に、ようやく会えた気がした

『成長し続けるための77の言葉』(田坂広志)を読んで


「自分探し」に腑に落ちた、はじめての瞬間

「自分探し」という言葉を、これまでどこか他人事のように感じていた。
けれどこの本の冒頭に出会ったとき、心にストンと落ちる感覚があった。

「自分探し」とは、自分の中に眠る“様々な自分”と巡り会うこと。

この言葉に出会って、ようやく自分の中にあった違和感がほどけた。
「自分」というのは、たった一つの輪郭を持つ存在ではなく、
経験や出会い、本との対話を通じて、少しずつ浮かび上がってくるものなのだと気づかされた。

自分の中には、まだ知らない“自分”がいる。
本書は、それらに気づかせてくれる静かな地図のような一冊だった。


「力」は知識ではなく、言葉にできない“何か”になる

田坂さんは、これからの社会で求められるのは「知識」ではなく「知恵」だと説く。
それは営業力、交渉力、企画力……といった“○○力”に現れるものであり、
AIでは代替できない「人間ならではの力」なのだと。

この力は、座学で学べるものではない。
人と向き合い、心を動かし、時に傷つきながらも体感でしか掴めないもの。
だからこそ、師匠を持ち、その姿勢や佇まいから“感得”することが大切になる。

「感得」とは、感動し、感心し、共感すること。
つまり、心が揺さぶられたとき、人はようやく“本当の知恵”をつかむのだ。
これまでの自分は、知識を手に入れれば何かが変わると思っていた。
でも実際に変わるのは、「心が動いたとき」なのだということに、深く頷いた。


成熟とは、心の奥にある“エゴ”を見つめること

この本で特に印象に残ったのは、「心の世界」を三段階に分けていたところ。

  • 第一段:相手の心が見える

  • 第二段:集団の心が見える(空気感・雰囲気)

  • 第三段:自分の心が見える

自分のことは自分が一番わかっていると思いがちだけれど、
本当は一番見えていないのが、自分の心かもしれない。

なぜなら私たちの心には、「無意識」という見えない層が存在していて、
その奥にある“エゴ”が人間関係の摩擦や、自分の苦しさの根っこに潜んでいるからだ。

エゴは消せない。けれど、見つめることはできる。
自分の中に“もう一人の自分”を育て、その目でエゴを客観的に見ていくこと。
これこそが「成熟」なのだと、田坂さんは静かに語っていた。

また、こうも語られていた。

「成功」は約束されていない。けれど、「成長」は誰にでも約束されている。

この言葉が、じんわりと心に沁みた。
失敗は怖い。でも、その中にこそ学びがあり、成長がある。
うまくいかない日々にも意味があるのだと思うと、不思議と前を向きたくなる。


おわりに:人生の中で何度も読み返したくなる一冊

田坂広志さんの言葉は、いつも人生の節目で静かに背中を押してくれる。
この本もまさにそうだった。ページ数は薄いのに、心に残るものがあまりに濃い。

読むたびに、違う“自分”が反応する気がする。
だからこそこれは、一度読んで終わりではなく、
何度も繰り返し、自分の成長とともに読み返したい「人生の書」になった。

きっとまた、数年後にこの本を開いたとき、
今とは違う“自分”が、また何かを受け取るのだろう。
そんな予感がしている。

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