「一日懸命」で生きてみる
「今日のことだけ考える。」谷崎玄明さんの本を読んで、最初の一言がいきなり刺さりました。
「考えることに、いい加減疲れていませんか?」って。
ここで言う“考える”は、勉強みたいに前向きな思考じゃなくて、過去の後悔とか未来の不安をぐるぐる回し続けること。
正直、まさに今の自分がそれでした。頭の中がずっと忙しい。なのに、目の前の一日がちゃんと味わえてない。
著者は「生きる上で一番の邪魔は“期待”だ」と言います。
期待って、明日にすがりついて、今日を薄くしてしまう。
未来のことを考えすぎるほど、今が空っぽになっていく…この感じ、思い当たる人は多いと思います。
もちろん長期的な考えは大事。でも、心の視野はあえて狭くしていい。
考えるべき時は考える。そうじゃない時は、考えない。
その切り替えができる人が、結局いちばん強いんだろうなと思いました。
面白かったのが「一生懸命」という言葉の話。
「一生懸命やってます」って、便利だけど、たまに自分をごまかす言葉にもなる。
本当に今日を生き切った人が言えるのは「一日懸命」なんだそうです。
この言い換え、妙に新鮮で、すごく効きました。
そもそも、私たちが生きられるのは“今日”だけ。
明日を生きることもできないし、昨日に戻って生きることもできない。
たった一回きりの一日を、ちゃんと使う。
その当たり前を思い出させてくれる本でした。
途中には、よくある人生の矛盾も出てきます。
人はお金のために健康を削って、あとからそのお金で健康を取り戻そうとする。
将来を心配しすぎて、今を楽しめない。
その結果、「今にも生きてないし、将来にも生きてない」状態になる…耳が痛いけど、まさにそうだなと。
原始仏教の話も印象的でした。
神みたいな抽象的なものじゃなくて、「一人の人間の実践」としての教え。
外の評価より、自分の心をちゃんと大事にする。
それができると、家事みたいな面倒なことも、少しずつ“楽しめること”に変わっていく、と。
そして「物を増やしたのに幸せになれず、むしろ虚しくなる」話。
だから減らす。考える量も減らす。
ただし、何でも捨てればいいわけじゃなくて、「こだわりの逸品は残す」。
シンプルって、我慢じゃなくて、“好きなものだけが少しある暮らし”なんだなと思いました。
忙しさの正体の説明も腑に落ちました。
忙しい人の心って、実は「今やってること以外」でいっぱい。
明日、明後日、今週、今月…と心が先へ先へ飛んで、勝手に疲れていく。
だから本当は、シングルタスクに戻るだけで楽になる。
「やるべきことを常に考えてしまっている=忙しい」って、ほんとその通り。
最後に残ったのは、かなり潔い言葉でした。
「理想は、寝たら忘れるような一日」
そして「頑張れば報われる、は嘘だと思って大丈夫」
ここだけ聞くと強いけど、言いたいのは“自分の幸せを後回しにしない”ってことなんだと思います。
幸せは今この瞬間にしかなくて、今日の中にしかない。
だから丁寧に、シンプルに、今日へ戻る。
最初は「今日だけ?」って投げやりにも聞こえたけど、読んでいくほど、ものすごく深い哲学だとわかってきました。
この本に出会えたことで、自分の中に「今日に戻る道」が一本できた気がします。

