当たり前の中に、勇気づけはある

『勇気づけの方法』野田俊作 著を読んで
野田俊作さんの『勇気づけの方法』を読んで、子どもとの関わり方は、想像していた以上に深いものだと感じました。
この本は、子どもに対する教育や育児の話が中心ではありますが、読んでいるうちに、これは子どもだけの話ではないと思いました。
会社の中で人と関わること、若い人と向き合うこと、そして家族との関係にも、そのまま通じる話だと感じました。
特に強く残ったのは、勇気づけとは、特別な成功を褒めることではなく、日々の当たり前の行動に目を向けることだという点です。
朝、自分で起きる。
学校へ行く。
元気に帰ってくる。
ご飯を食べる。
お風呂に入る。
寝る。
こうした日常の行動を、私たちはつい「できて当たり前」と思ってしまいます。
けれど本当は、その一つひとつが子どもにとっては大切な生活の積み重ねなのだと思いました。
「起こさなくても一人で起きてくれたね」
「今日も学校に行って帰ってきたね」
「ありがとう」
そんな何気ない言葉が、子どもの心の中に小さな勇気を育てていく。
これは、とても大事な視点だと思いました。
4歳の朱音ちゃんを見て感じること
今、4歳の朱音ちゃんを見ていると、本当に子どもは大人の言葉や感情に敏感だと感じます。
その場では、きょとんとした顔をしていることがあります。
分かっていないようにも見えます。
けれど、実はちゃんと感じ取っている。
大人の声の調子、表情、空気の変化を、こちらが思っている以上に受け取っているのだと思います。
子どもだから分からないだろう。
まだ小さいから大丈夫だろう。
そう考えるのは、少し違うのかもしれません。
もちろん、幼い子どもは長く記憶しておく力はまだ発達の途中です。
昨日のことを全部覚えているわけではないかもしれません。
それでも、その瞬間に心が動き、脳が育ち、世界の見方を少しずつ覚えていく。
だからこそ、幼児期の言葉がけや関わり方は、とても大切なのだと思いました。
構いすぎも、管理しすぎも、勇気を奪う
この本を読んで、もう一つ考えさせられたのは「構いすぎ」のことです。
子どもが頼んでいないことを、大人が先回りして全部やってしまう。
きっとこうしてほしいのだろう。
きっとこう考えているのだろう。
そう思って、何でも代わりにやってしまう。
一見すると、優しさのように見えます。
けれど、それが続くと、子どもは「自分が言わなくても周りが分かってくれる」「困ったことは誰かが解決してくれる」と思うようになる。
これは子どものためになっているようで、実は自分で考える機会を奪っているのかもしれません。
「起きなさい」
「ご飯を食べなさい」
「学校に遅れるよ」
「宿題しなさい」
「お風呂に入りなさい」
「早く寝なさい」
日常の中で、つい大人は子どもを管理してしまいます。
でも、何から何まで管理してしまうと、子どもは自分で生活を組み立てる力を育てにくくなる。
子どもは子どもなりに、自分で問題を解決しようとしている。
その力を信じて、少し待つこと。
失敗も含めて体験させること。
それもまた、勇気づけなのだと思いました。
育児と教育に必要な4つのS
本の中で紹介されていた、育児と教育に必要な4つのSも印象に残りました。
一つ目は、尊敬。
子どもを上から見るのではなく、対等な一人の人間として見ることです。
これは「尊重」と少し違い、相手の存在そのものを認める姿勢なのだと思いました。
二つ目は、責任。
日本では、責任を取るというと、辞めることや謝ることのように考えがちです。
でも本当の責任とは、失敗したあとにどう回復するか、どう次につなげるかということなのだと思います。
これは会社経営にもつながります。
失敗した人を責めて終わりにするのではなく、どうすれば取り戻せるか、どうすれば次に同じことを繰り返さないかを一緒に考える。
その方が、よほど本当の意味で責任を学べるのではないかと思いました。
三つ目は、社会性。
人と関わる力です。
「言わなくても分かるだろう」ではなく、言葉にして伝えること。
相手と関係をつくること。
これは家庭でも会社でも、とても大切なことです。
四つ目は、生活力。
生きていく力です。
知識だけではなく、現実の中で何とかしていく力。
困った時に考え、周りと関わり、自分で立ち上がる力。
これからの時代には、ますます必要になる力だと思いました。
会社でも、勇気づける言葉を学び続けたい
この本を読んで、私は「育てる」という言葉についても考えました。
子どもを育てる。
社員を育てる。
若い人を育てる。
そう言うと、どうしても上から目線になりやすい。
けれど本当は、相手をこちらの思い通りに育てるのではなく、その人が持っている力を信じて、勇気づけることが大切なのだと思います。
経営者として、これまでの自分の経験値だけで人を見るのは危ないことだと、改めて感じました。
時代は大きく変わっています。
若い人の考え方も、働き方も、価値観も変わっています。
昔はこうだった。
自分たちはこうやってきた。
その経験は大切ですが、それだけで今の人を理解できるわけではありません。
だからこそ、こちらの言葉もブラッシュアップしていかなければならない。
相手を責める言葉ではなく、勇気づける言葉を選ぶ。
管理する言葉ではなく、自分で考える力を引き出す言葉を使う。
これは、これからの会社づくりにも必要なことだと思いました。
当たり前を見つける目を持ちたい
勇気づけとは、大きなことをした時だけに与えるものではない。
日々の当たり前の中にある小さな行動を見つけ、言葉にして伝えることなのだと思います。
子どもにも、社員にも、家族にも、そして自分自身にも。
できなかったことばかりを見るのではなく、できていることを見る。
責める前に、相手がすでにしている努力に気づく。
それは簡単なようで、意外と難しいことです。
けれど、その小さな言葉が、人の心を少し軽くする。
明日もやってみようと思える力になる。
それが「勇気づけ」なのだと、この本を読んで感じました。
朱音ちゃんを見ていると、子どもは本当に毎日成長しています。
そしてその姿を見ている私自身も、まだまだ学ばなければならないと思わされます。
子どもを勇気づけることは、大人が学び直すことでもある。
人を育てることは、自分の言葉を育てることでもある。
そんなことを考えさせられた一冊でした。
