自分を楽にするとは、宇宙を信じることかもしれない

大木ゆきのさんの『世界で一番楽チンな奇跡の起こし方 宇宙におまかせ!』を読んで、最初は正直、「宇宙におまかせ」という言葉が少し大きすぎるようにも感じました。
宇宙というと、どこか遠くにある壮大なもののように思ってしまいます。
でも読み進めていくうちに、これは何か特別な力にすがる話ではなく、自分を必要以上に追い詰めないための考え方なのだと思いました。
私たちはつい、「こうならなければならない」「これができなければだめだ」と、自分で自分に命令してしまいます。
そして、思い通りにならないことに不安になり、足りないものばかりを見てしまう。
でも本当は、もうすでに持っているものもたくさんある。
見えていないだけで、海の中に沈んでいる氷山のように、自分の中にも、まだ気づいていない力や可能性があるのかもしれません。
思考から少し離れる時間
本の中で印象に残ったのは、「思考を観察する」という考え方です。
考えないようにしようとしても、人間はなかなか考えないことはできません。
だから、思考に巻き込まれるのではなく、「今、自分はこんなことを考えているんだな」と眺めてみる。
これは簡単なようで、なかなか難しいことです。
でも私の場合、少し似た感覚になる時間があります。
それが切り絵をしている時です。
細かいところに集中して、ただ手を動かしていると、余計な考えが少しずつ静かになっていく。
その時間は、仕事のことも、心配事も、過去の反省も、少し遠くへ行くような気がします。
洗い物でも、掃除でも、切り絵でもいい。
ただ目の前の動作に集中するだけで、心が澄んでいく瞬間がある。
家事や手仕事には、思っている以上に人を整える力があるのかもしれません。
「ない」ではなく「ある」から始める
私たちはどうしても、「ない」ものを探してしまいます。
お金がない。
時間がない。
才能がない。
若さがない。
自信がない。
でも、「ない」を前提にすると、その方向に心が引っ張られてしまう。
足りないものを埋めるために生きると、いつまでたっても満たされない。
この本では、そもそもありのままで完全なのだ、と語られています。
これは甘やかしではなく、自分の土台をどこに置くかという話だと思いました。
「足りない自分が何とか頑張る」のではなく、
「すでにある自分が、さらに経験してみたいことを選ぶ」。
この違いは、とても大きいと思います。
今までの人生で、いろいろなことがありました。
失敗もあったし、思い通りにならないこともたくさんあった。
でも、それでもここまで生きてきた。
それだけでも、実はすごいことなのだと思います。
自分に対しては、少し傲慢でいい
私はこの本を読んで、「自分に対しての傲慢さはあっていいのかもしれない」と感じました。
もちろん、人に対して傲慢になるのは違います。
人を見下したり、自分だけが正しいと思ったりする傲慢さは、人を遠ざけてしまいます。
でも、自分に対してはどうでしょうか。
「私は受け取っていい」
「私は幸せになっていい」
「私はここまでよくやってきた」
そう思うことまで、控えめにしなくてもいいのではないか。
昔から、謙虚に生きることが美徳だと言われてきました。
でも、その謙虚さが行きすぎると、自分を小さく見積もる癖になってしまう。
ここまで生きてきた自分を、もう少し堂々と認めてもいい。
それは人への傲慢ではなく、自分への礼儀なのかもしれません。
恐れの回路から、信頼の回路へ
人間は、恐れを感じやすい生き物です。
危険を察知し、命を守ってきた歴史があるから、どうしても不安の方が先に立つ。
うまくいかなかったらどうしよう。
失敗したらどうしよう。
人にどう思われるだろう。
そう考えるのは、ある意味では自然なことです。
でも、その恐れにずっと支配されていると、動けなくなってしまいます。
だから恐れを否定するのではなく、まず内側から見つめる。
「ああ、自分は今怖がっているんだな」と気づく。
それだけでも、恐れとの距離が少し生まれる気がします。
宇宙におまかせするというのは、何もしないことではないと思います。
自分で全部をコントロールしようとしすぎないこと。
思い通りにしようとする力を、少しゆるめること。
すると、思い通りではなく、思った以上の出会いや流れが入ってくるのかもしれません。
無垢な自分から、もう一度始める
この本を読んで、私は自分の気持ちを少し楽に捉えることができました。
世の中は自分が思っているより大きい。
自分一人の頭で考えられる範囲など、本当に小さいものです。
だからこそ、全部を抱え込まなくてもいい。
全部を自分で設計しなくてもいい。
出会う人、起こる出来事、そのタイミングにも、何か意味があるのかもしれない。
これからは、もう少し「ない」ではなく「ある」に目を向けたい。
やらなければならないことだけでなく、気が進むこと、心が少し明るくなることも大切にしたい。
切り絵をする時間のように、ただ目の前のことに集中して、自分を整える時間も持ちたい。
宇宙におまかせとは、遠い空の話ではなく、
力を抜いて、自分を信じ直すことなのだと思います。
今日までいろいろあった。
それでもここまで来た。
ならば、これから起こることも、少し信じてみてもいい。
無垢な自分から、もう一度出発してみる。
その方が、人生は少し楽チンで、少し面白くなるのかもしれません。
