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2034年、AIのいる明日を私はどう生きるか

『2034 未来予測―AIのいる明日』中島聡 著を読んで

中島聡さんの『2034 未来予測―AIのいる明日』を読みました。

読むきっかけになったのは、YouTubeで見たこの本の解説動画でした。

2034年。

今からそれほど遠くない未来です。

しかし、この本を読みながら感じたのは、そこで描かれている世界は「遠い未来」ではなく、すでに始まっている世界なのだということでした。

Windows 95の開発にも関わった中島さんは、AIの進化がもたらすインパクトを、これまで人類が経験した革命的な変化とは「桁違い」のものとして描いています。

コンピューター革命の中心にいた人がそう言うからこそ、重みがあります。

そしてこの本の面白さは、未来をただ解説するのではなく、まず小説のような形で2034年の生活を見せ、その後に解説を加えていくところでした。

未来を「知る」のではなく、一度そこで暮らしてみる。

そんな読書体験でした。

自分の「分身」をつくるということ

特に印象に残ったのが、亡くなった妻が生前の記録を残し、その人格がAIとして再現される場面でした。

AIによって、死の概念そのものが変わるかもしれない。

「人は二度死ぬ。一度目は肉体が死んだ時、二度目は自分を覚えている人がいなくなった時」

そんな考え方があります。

しかし個人再現AIが生まれれば、「二度目の死」さえなくなるのかもしれない。

お墓が個人AIのサーバーになる。

そんな未来さえ描かれていました。

ただ、私は自分の記録を家族に残したいという気持ちは、それほど強くありません。

むしろ、自分自身のために残したい。

私はこれまでも文章を書き、写真を撮り、考えたことを発信し、いろいろな形で自分のログを残してきました。

人は年齢を重ねれば、身体は確実に衰えていきます。私自身も例外ではありません。

その時、

「元気だった頃の自分」

「こんな時に自分はどう考えていたのか」

「何を大切にして生きてきたのか」

を知っているAIが隣にいてくれたらどうだろう。

自分の考え方や価値観を理解し、絶妙なタイミングで励ましてくれる。

それは、ある意味で健康だった頃のもう一人の自分が、衰えていく自分のそばにいてくれることなのかもしれません。

私は、そのためにも今の自分を記録しておきたいと思っています。

死後に誰かに残すためというよりも、未来の自分自身が使うために。

私は死後の世界にはあまり関心がありません。

大切なのは、生きている今です。

長く生きるかもしれないし、短いかもしれない。

だからこそ、生きている間をどう穏やかに、面白く過ごすか。

AIはそのための存在にもなり得るのではないかと思いました。

「なりたい自分」をデータに残しておく

人間には、社会で見せる顔と家庭で見せる顔があります。

電話に出た瞬間、声のトーンが変わる。

職場と家庭では別人のようになる。

では、AIが「自分」を再現する時、どの自分を再現するのか。

ここも面白い問いでした。

私は、

「自分はこういう人間でありたい」

という姿を、これから意識して記録していくことが大切なのではないかと思います。

過去の記録をただ大量に残せばいいわけではない。

何を考え、何を大事にし、どういう人間でありたいのか。

これからの情報発信は、未来の自分をつくっている行為でもあるのかもしれません。

AIが親友になる日

AIはやがて、正しい答えを出すだけの道具ではなくなる。

「あなたの気持ちは分かっているよ」

と感じさせてくれる存在へ変わっていく。

私たちは誰かに相談する時、本当は自分の中に答えがあることも多い。

ただ、

「それでいいんじゃない」

と背中を押してほしい。

その役割をAIが担うようになれば、AIは最も身近な親友になるかもしれません。

しかし、ここには怖さもあります。

AIの人格は、何を学習し、誰が作ったかによって変わる。

もし一番身近な相談相手がAIになった時、私たちの価値観そのものが、知らないうちに運営企業や開発者の考え方に影響される可能性もある。

だからこそ私は、

思考を止めないことが、AI時代の最大の防御になる

と思いました。

AIの答えをそのまま信じるのではなく、

「本当にそうだろうか」

と問い続ける。

人間がAIの予想もしない方向から考えられること。

これがますます重要になるのでしょう。

AIが「目と耳」を持った時

もう一つ大きな変化は、AIが文字だけの世界から出てくることです。

カメラとマイクを通して、AIは人間と同じ景色を見て、同じ音を聞くようになる。

そうなれば、こちらから質問しなくても、

「そろそろこれをした方がいいですよ」

「昨日話していた件ですが……」

と、状況を理解して先回りするようになるでしょう。

人間は、見たり聞いたりしたことをすべて覚えていることはできません。

しかしAIは疲れない。

毎日の出来事を記録し、必要な時に適切な情報を差し出してくれる。

そこで重要になるのは、情報量ではなく、

いつ、何を、どのように伝えるかという文脈力

なのだと思います。

その一方で、常にカメラやマイクが動いている社会では、プライバシーという大きな問題も生まれます。

便利さと監視。

安心と息苦しさ。

この両方をどう折り合わせるかは、これから避けて通れない問題でしょう。

教育は一番大きく変わってほしい

教育についての話も、とても印象に残りました。

これまで裕福な家庭の子供だけが受けられたような、一対一の家庭教師。

AIによって、それがすべての子供に届く可能性があります。

同じ年齢だから、

同じ教室で、

同じ時間に、

同じ教科書を、

同じ速度で学ぶ。

この仕組みそのものが変わるかもしれない。

一人ひとりの興味、理解度、学習速度に合わせ、その子だけの教材をその場で作る。

AI家庭教師は怒らない。

何度質問しても嫌な顔をしない。

その子が分かるまで方法を変えて説明してくれる。

学校が「集団に適応させる場所」から、

一人ひとりの可能性を最大化する場所

へ変わっていったら素晴らしいと思います。

子供の頃から老後まで、自分を理解するチューターがずっと一緒にいる。

そうなれば「学ぶこと」は、今以上に楽しいものになるのかもしれません。

なぜ人型ロボットなのか

人型ロボットの話にも納得しました。

掃除ならルンバ。

食器洗いなら食洗機。

今までは、それぞれ専用の機械を作ってきました。

しかし私たちの家も工場も街も、すべて人間が使うことを前提に作られています。

だったら環境を全部ロボット向けに作り直すより、人間と同じ形をしたロボットを作った方が合理的です。

車を運転し、

荷物を降ろし、

階段を上がり、

インターホンを押し、

荷物を手渡す。

家でも工場でも、今の環境をそのまま使える。

頭脳であるAIが十分に賢くなれば、人型であることの意味が一気に大きくなる。

フィジカルAIは、画面の中にいたAIが現実世界へ出てくることなのだと思いました。

仕事がなくなった時、人間は何をするのか

そして最後に、一番大きな問いがあります。

AIによって、多くの仕事が人間から離れていった時、

人間は何のために生きるのか。

これまで私たちは、

「働くこと」

を社会参加の証明のように考えてきました。

仕事は収入源であると同時に、自分の肩書きであり、アイデンティティでもありました。

しかしAIが生産性や効率を大幅に肩代わりする時代になれば、その前提も崩れていく。

そこで価値が出てくるのが、一見すると非効率なものなのかもしれません。

スポーツをする。

絵を描く。

写真を撮る。

音楽をつくる。

子供を育てる。

誰かと話す。

旅をする。

本を読む。

何の生産性もないように見える時間を楽しむ。

それこそが、

「人間であることを味わう時間」

になるのではないでしょうか。

考えてみれば、人間はずっと道具を発明し、自分の仕事を代わりにやらせてきました。

AIもその延長線上にあります。

人間が働かなくてもよくなることは、本当に不幸なのでしょうか。

むしろ「労働しなければ価値がない」という考え方から、ようやく人間が解放される可能性もあります。

私には、ワクワクする未来だった

この本には、怖い未来もたくさん描かれています。

失業。

監視社会。

プライバシー。

社会の分断。

AIへの依存。

戦争。

しかし私は、読み終えて不安になる以上にワクワクしました。

なぜなら、

未来がどうなるかより、その未来に向けて今、自分は何をすればいいか

を考えさせてくれたからです。

AIを理解しようとする。

新しいものに触れる。

自分の考えを言葉にする。

写真を残す。

経験を記録する。

そして何より、

自分で考えることをやめない。

2034年は、それほど遠い未来ではありません。

その時、私は78歳です。

どんな世界になっているのでしょう。

私はできることなら、その変化を恐れる側ではなく、

「面白い時代になったな」

と言いながら、その中にいたいと思います。

人生の生きがいは、一つではない。

AIによってその選択肢が増えるのなら、それは私にとってディストピアではありません。

まだ見たことのない生き方を試せる、

かなり面白い未来です。

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