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  • 「怖れる前に、知る。ヒグマという“神秘”と共に生きる」 | 2025.10.17

    「怖い」だけじゃない。ヒグマという存在から見えてきたこと

    ──『ヒトとヒグマ』(増田隆一)を読んで

    最近、熊出没のニュースをよく耳にします。
    特に山の近くに住んでいると、「またか…」とちょっと他人事ではいられない。
    秋は紅葉を撮りに山に入りたいし、滝の写真も撮りに行きたい。でも、熊に遭遇するかも…そう思うとちょっと怖い。

    そんな気持ちで手に取ったのが『ヒトとヒグマ』(増田隆一 著)です。
    「熊は怖い」だけで終わらせたくない。そもそもどんな動物なのか?どう人と関わってきたのか?その背景を知ることで、見方が変わるかもしれない。そんな思いで読みました。


    ヒグマのリアルな生態に驚きの連続

    読み進めるうちに、ヒグマという存在がどんどん立体的に感じられてきました。
    まず驚いたのが、200kmを移動することもあるという広大な行動範囲。
    そして、雑食性であること。植物も食べるし、エゾシカの幼獣を食べることもある。人が自然環境を変えてしまったことで、熊の食性も変化してしまっているというのです。

    特に印象に残ったのは「冬眠」の話。
    詳しい説明は本に譲りますが、体の水分を循環させながら何ヶ月も活動を止めるなんて、人間には到底マネできない神秘的なシステムです。
    自然界の奇跡というか、思わず「すごい…」とつぶやいてしまいました。


    「共存」がテーマになってくる理由

    一方で、ヒグマの個体数は増えているとのこと。
    北海道などでは、広大な農地に家畜用のデントコーン(トウモロコシ)が栽培されており、ヒグマにとっては手軽に食べ物が手に入る“餌場”になってしまっているそうです。
    結果として、森の中よりも人里近くで過ごす「都市型ヒグマ」が生まれてきた。

    でも、ただ「危ないから駆除しよう」という話にはしたくない。
    本書では、アイヌ民族に伝わるクマ送り儀礼の話も紹介されています。
    冬眠から目覚めたヒグマは、カムイ(神)界から地上に降りてくる存在。
    その熊を敬い、豊かな肉や毛皮をもたらしてくれることに感謝する文化がある。
    それが「クマ送り」です。


    感受性と寛容性のバランス

    この本でとても共感したのが、「感受性と寛容性」に関する考察。
    子どもは好奇心が旺盛で、感受性も高い。でも寛容性はまだ低い。
    一方で、大人になると文化的な経験を重ねて寛容性は高まるけれど、感受性は鈍っていく。

    この“交差点”のような時期に、ヒグマのような存在と出会い、考え、体験することの大切さ。
    なんだか今の社会にもつながる話だなと感じました。


    熊を知って、備えるという姿勢

    今回この本を読んで、「熊が怖い」という感情の裏にある、“知らないことへの恐れ”に気づきました。
    ちゃんと知れば、どう備えるべきかも見えてくる。
    そして、ヒグマという存在はただの野生動物ではなく、人間の文化や精神にも深く関わってきた、特別な生き物だということも分かりました。

    自然との関わり、異文化との接点、生物多様性の意義。
    ヒグマ文化には、そういったさまざまなテーマが凝縮されています。

    筆者は「ヒグマ文化は、集団の結束を促し、他文化との絆を強める力がある」と語っていましたが、まさに同感です。
    人と自然、人と人との距離感を考え直すヒントがここにはある。

    これから紅葉狩りや写真撮影で山に入るときは、熊鈴だけでなく、こうした知識や敬意も一緒に携えていたいと思いました。

  • 自分の中の“眠っていた誰か”に、ようやく会えた気がした | 2025.10.16

    『成長し続けるための77の言葉』(田坂広志)を読んで


    「自分探し」に腑に落ちた、はじめての瞬間

    「自分探し」という言葉を、これまでどこか他人事のように感じていた。
    けれどこの本の冒頭に出会ったとき、心にストンと落ちる感覚があった。

    「自分探し」とは、自分の中に眠る“様々な自分”と巡り会うこと。

    この言葉に出会って、ようやく自分の中にあった違和感がほどけた。
    「自分」というのは、たった一つの輪郭を持つ存在ではなく、
    経験や出会い、本との対話を通じて、少しずつ浮かび上がってくるものなのだと気づかされた。

    自分の中には、まだ知らない“自分”がいる。
    本書は、それらに気づかせてくれる静かな地図のような一冊だった。


    「力」は知識ではなく、言葉にできない“何か”になる

    田坂さんは、これからの社会で求められるのは「知識」ではなく「知恵」だと説く。
    それは営業力、交渉力、企画力……といった“○○力”に現れるものであり、
    AIでは代替できない「人間ならではの力」なのだと。

    この力は、座学で学べるものではない。
    人と向き合い、心を動かし、時に傷つきながらも体感でしか掴めないもの。
    だからこそ、師匠を持ち、その姿勢や佇まいから“感得”することが大切になる。

    「感得」とは、感動し、感心し、共感すること。
    つまり、心が揺さぶられたとき、人はようやく“本当の知恵”をつかむのだ。
    これまでの自分は、知識を手に入れれば何かが変わると思っていた。
    でも実際に変わるのは、「心が動いたとき」なのだということに、深く頷いた。


    成熟とは、心の奥にある“エゴ”を見つめること

    この本で特に印象に残ったのは、「心の世界」を三段階に分けていたところ。

    • 第一段:相手の心が見える

    • 第二段:集団の心が見える(空気感・雰囲気)

    • 第三段:自分の心が見える

    自分のことは自分が一番わかっていると思いがちだけれど、
    本当は一番見えていないのが、自分の心かもしれない。

    なぜなら私たちの心には、「無意識」という見えない層が存在していて、
    その奥にある“エゴ”が人間関係の摩擦や、自分の苦しさの根っこに潜んでいるからだ。

    エゴは消せない。けれど、見つめることはできる。
    自分の中に“もう一人の自分”を育て、その目でエゴを客観的に見ていくこと。
    これこそが「成熟」なのだと、田坂さんは静かに語っていた。

    また、こうも語られていた。

    「成功」は約束されていない。けれど、「成長」は誰にでも約束されている。

    この言葉が、じんわりと心に沁みた。
    失敗は怖い。でも、その中にこそ学びがあり、成長がある。
    うまくいかない日々にも意味があるのだと思うと、不思議と前を向きたくなる。


    おわりに:人生の中で何度も読み返したくなる一冊

    田坂広志さんの言葉は、いつも人生の節目で静かに背中を押してくれる。
    この本もまさにそうだった。ページ数は薄いのに、心に残るものがあまりに濃い。

    読むたびに、違う“自分”が反応する気がする。
    だからこそこれは、一度読んで終わりではなく、
    何度も繰り返し、自分の成長とともに読み返したい「人生の書」になった。

    きっとまた、数年後にこの本を開いたとき、
    今とは違う“自分”が、また何かを受け取るのだろう。
    そんな予感がしている。

  • 「36回目の冬を迎える花」 | 2025.10.15

    夏の間、事務所の外で陽をいっぱいに浴びていたハイビスカス・ブーゲンビリアの鉢植えを、先週、寒さが来る前に室内へ移しました。すると数日後、ブーゲンビリアが真っ赤な花を咲かせてくれました。
    外では冬の気配が漂い始めていますが、事務所の中だけは少しだけ夏の香りが残っているようです。
    思えば、この花が当社の事務所で冬を越すのは今年で36回目。厳しい寒さの中でも、変わらず咲き続けるその姿に、日々の仕事への励ましを感じます。
    自然の力強さや、環境が変わっても咲き続ける生命のたくましさは、私たちのものづくりにも通じるものがあります。
    外が雪に覆われても、この花はまた静かに咲くでしょう。今年も小さな花が、季節を超えて私たちに前向きなエネルギーを届けてくれました。

  • 「もつれた自分」をほどく旅 ー 量子の世界から学んだこと | 2025.10.15

    『人生がパパッと変わる「量子もつれ」のほどき方』(Shaliko著)を読んで、またひとつ、見えない世界への理解が深まった気がします。

    量子もつれや波動、フォトン、波動関数…。
    正直、これまでも何冊か似たテーマの本を読んできたけれど、「わかったようで、わからない」。
    物質が点であり波であり紐である、というたとえに毎回少し戸惑う。でも、その複雑怪奇さこそが量子の世界なのだと、今回ようやく腑に落ちたような気がしました。


    目に見えない“つながり”の正体

    特に印象に残ったのが、「量子もつれ」の状態を、人間関係にたとえている部分です。
    たとえ物理的に離れていても、深く結びついたもの同士は互いに影響し合う。まるで、大切な人のことをふと思い出した瞬間に連絡が来る、そんな不思議なつながり。

    人の体も微弱な電気を帯びていて、それがフォトン(光子)として発しているといいます。つまり、人と接するとき、そこには目に見えない量子的な“波”が交差していて、その相性によって「なんとなく合う」「居心地が悪い」と感じるのかもしれません。


    「仮の自分」をほどいていく

    本書を読んで思い出したのが、自分の中にある「仮設定の自分」の存在です。
    子どものころから「みんなと同じが正しい」と教えられ、それに合わせてふるまってきた結果、知らず知らずのうちに“本当の自分”はどこか奥にしまわれていった。そんな人、多いのではないでしょうか。

    それが長く続くと、自分の考えを持つことすら億劫になって、思考が止まってしまう。
    でも、量子の世界のように、私たちも常にゆらぎながら存在している。だからこそ、「今の自分」も書き換えていいし、波動を変えていいんです。


    “空”のこころで軽くなる

    筆者は、「もつれをほどく方法」として、“幸せを感じること”や、“空(くう)=こだわらない心”の大切さを語っています。
    この“空”という言葉、仏教でもよく出てきますよね。区別や執着を手放して、ただあるがままに今を味わうこと。

    科学と宗教、哲学は、実は同じことを違う言葉で語っているのかもしれません。
    私たちはフラクタル構造のように、宇宙と同じパターンで成り立っているなら、自分の波動を整えれば、外の世界にもそれが響く。
    未来は「今」の延長にある。だからこそ、今日をどんな波で生きるかが、すべてなんだと感じました。


    最後に──

    難しいことでも、知ろうとすれば教えてくれる時代に生きていることに、ふと感動します。
    「量子もつれ」をほどく旅は、見えないものを信じることから始まるのかもしれません。

    自分に優しい波動を選びながら、軽やかに生きていきたい──そう思えた一冊でした。

  • 「商品の良さ」だけじゃ売れない時代に読むべき1冊  | 2025.10.09

    常識を10°ズラすだけで、売れるアイデアは生まれる

    ——『道ばたの石ころ どうやってうるか?』(野呂エイシロウ)感想

    商品を売るって、どういうことだろう?
    そう改めて考えるきっかけをくれたのが、野呂エイシロウさんの著書『道ばたの石ころ どうやってうるか?』です。

    本書の中で何度も繰り返されるのは、「視点を変える」ことの大切さ。
    自分の会社⇒お客様 ではなく、お客様⇒自分の会社 という逆向きの発想。
    これだけでも、大きなヒントになります。

    スティーブ・ジョブズも「視点を変える」ことの達人だったといいます。
    たしかに、「商品の良さ」をいくら一生懸命アピールしても、売れないことはあります。
    それは、「売る側の都合」だけで世界を見ているからかもしれません。

    また、こんなフレーズも印象に残りました。

    「最高の一案は、山ほどつまらない案の中に、ひっそり埋もれている」

    つまり、“的外れ”なアイデアも、“あり得ない”発想も、すべては「宝探し」の途中にあるということ。
    「脳は怠け者だから、常識に寄りかかろうとする」という指摘もドキッとします。
    私たちは、気づかないうちに“思い込み”で思考停止していることが多いのです。

    他にも、「情報にケチになれ」という言葉も心に残りました。
    これはお金の話ではなく、「時間」と「情報の質」への投資の話。
    ただ闇雲にインプットするのではなく、“自分にとって本当に面白い・使える情報か”を見極めようということです。

    たとえば、最近は新聞を読む人が減っていますが、年収1000万円以上の92%は新聞を読んでいるというデータが紹介されていて、ハッとしました。
    「売る」ためのヒントは、意外と日常のスーパーのチラシや、何気ないニュース記事の中に転がっているのかもしれません。

    著者は、「わざと間違える」ことも視点をずらす技法として紹介しています。
    また、まったく違うジャンルや他人の考え方を“まねる”ことも、有効なアプローチとのこと。
    形ではなく、考え方をまねるというのがポイントです。

    最後に紹介されていたのが、「とりあえずやってみる」「ダメならすぐやめる」という軽快な思考のすすめ。
    これもまた、思考停止を打ち破る小さな一歩だと思います。


    ✅まとめ:自分の“視点癖”を疑ってみる

    本書を読んで強く思ったのは、自分の中の「常識」が意外と厄介な敵になるということです。
    思考停止に陥らないためには、あえて視点をズラす、外す、まねる、遊ぶ、そして捨てる。
    こうした「ずらし」の習慣を、これから日々の中で試してみたいと思います。

    何かがうまくいかないと感じたとき、ほんの10°だけ視点を変える
    それだけで、まったく違う景色が見えてくるかもしれません。

  • 記憶力の低下に悩む人が、日常でできる脳活・体活をやさしく指南してくれる本。 | 2025.10.03

    松原英多著『人の名前が出てこなくなったときに読む本』

    「人の名前が出てこない」——そんな経験、ありませんか?
    正直、私はずいぶん前からそんな感じで、「もう年齢的にしょうがないよね」と開き直ってました。だから、このタイトルを見たときも「キャッチーなだけでしょ」と正直、ちょっと疑いながら読み始めたんです。

    でも読んでみると、意外と深いし、実生活にも役立ちそうな話が満載。これはちょっと紹介しておきたいな、と思って感想をまとめてみました。


    記憶力が落ちるのは興味の問題?

    本の中で「人の名前が出てこないのは、相手に興味がないから記憶が生まれない」と書かれていて、ちょっとドキッとしました。
    確かに、最近は新しく会った人の名前を聞いても「またすぐ忘れそう…」という気持ちの方が先に来て、ちゃんと覚えようとしてないかもしれません。

    顔の記憶に関しても面白い話がありました。脳には“顔細胞群”という細胞の集まりがあって、顔は非言語記憶(=言葉ではなく映像のように記憶する)としてエピソード記憶に分類されるそうです。
    なるほど、歴史上の人物の顔と名前がなかなか一致しないのも、意味記憶になっちゃうからなんですね。


    脳を活性化させる、ちょっとした習慣たち

    記憶力を維持するには、結局「体を動かすこと」が一番効果的だそうです。

    • 5分の筋トレと15分のウォーキング

    • 足を動かせば血液が循環して、脳にも栄養が届く

    • 歩くときは“親指”を意識するだけでも効果あり

    そして面白いのが「おしゃべりしながら歩くと、脳の活性化につながる」という話。黙々と歩くより、誰かと話しながらの方が、確かに楽しいし、続きそうですよね。

    運動は「面白くなければ意味がない」とも書かれていました。追い込むような運動よりも、楽しんでできることが大事。意欲が出ないと継続も難しいし、面倒だと思った瞬間に記憶力も落ちるそうです。


    日常に取り入れたいちょっとした工夫

    ほかにも、なるほど〜と思ったポイントがたくさん。

    • 緑茶をよく飲む人は認知機能の低下を防げる

    • 食事はひとりより、誰かと一緒の方が“妙薬”になる

    • 冬は暖かく、夏は涼しく。シンプルだけど大事な環境づくり

    • 幸せホルモン“オキシトシン”を出すには、背中をやさしくなでるのも効果的

    どれもすぐに実践できそうなことばかりで、読んでいるうちに「自分の生活スタイル、ちょっと見直してみようかな」と思えてきました。


    最後に:記憶も健康も、“楽しく”がコツかも

    この本は、記憶力の低下をただの老化として諦めるんじゃなくて、「暮らしの工夫で改善できるよ」と前向きなヒントをくれる一冊でした。

    「今日は誰とおしゃべりしながら歩こうかな?」
    そんなふうに、毎日を少しだけ意識して過ごすことで、脳も身体もきっと元気になる気がします。

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